斉藤孝著 「20歳の自分に伝えたい知的生活のすゝめ」を読んで


20歳の自分に伝えたい知的生活のすゝめ」を読んで


本文では、現代の若者の捉え方を著者である斉藤孝さんの視点で説明されており、若者に対する希望が込められた内容になっています。

わたしは20代ではなく30代ですが、自分の20代を振り返ったり、また、現在のわたし自身が大事にしていることで、共感できる内容が書かれていたので、いくつか紹介してみたいと思います。


ちなみに、わたしは著者の齋藤孝さんのファンです。

斉藤さんの考え方には共感するところが多いですし、何より文章がとても読みやすいです。


斉藤さんは、今の若者が優秀だという肌感覚があるといいます。

それを、「整いぶり」と表現しています。

基本的に他人に失礼なことを言いませんし、マナーやTPOをごく自然なものとして身につけています。


たしかに。職場にいる若い子の「整いぶり」は共感できます。


一方で、斉藤さんは、現代人(若者)が教養を身につけるのに、それほど熱心になれていないのではないかとも説いています。

その理由としては、人間を評価する尺度としての教養の価値が昔よりも大幅に低下し、代わりに容姿や経済力に価値を置く比重が高まった影響が大きいのかもしれませんとしています。

また、容姿や経済力などのように、持って生まれたものの価値を優先する考え方を、「遺伝子至上主義」的な価値観と表現し、その価値観の蔓延や、そこに生まれる、なんでも査定するような状況、つまり「査定社会化」が若者を苦しめているのではないかとも考えているようです。


このような閉塞感を感じるような状況を打破するには、知性が必要で、教養を身につけることの重要さを説いています。

それに加え、次のことをアドバイスしています。



目上の人とも距離をすっと縮められるのは若い人の良さであって特権なのですから、どんどん行使すべきです。



これは本当に頷ける考え方ですね。

目上の人でも、勢いで距離を詰めてみたら、人生を変える考えに出会えたという経験は、わたしにもたくさんあります。

メリットが大きいので、恥や恐れを捨てて、実行していただきたいですね。


ここで、わたしのエピソードを一つ、話します。

当時、尊敬していた職場の先輩が退職することで先行きが不安になり、今の職場でどのようなモチベーションでやっていけば良いのかわからず悩んでいました。

今では、何か悩むことがあれば本屋に行ってみたり、その分野に長けている人にアドバイスを乞うことができますが、当時のわたしは、悩みをどのように解決すればいいのかわかりませんでした。

ただただ、どうしようもない思いを人に聞いてほしかったのです。


その時に思い浮かんだのが、勉強会で知り合ったAさん(仮)でした。

Aさんとは勉強会で一、二度関わりを持っただけですが、Aさんから発せられる言葉や態度にはパワーがありました。

勉強会後の講師とのお酒の席で、Aさんが講師に熱く語りかけていた姿を、今でも覚えています。

自分の悩みや考えを、思いを持って話す方だなと思いました。

そんな印象を持っていたこともあり、直感的に、悩みを聞いてもらいたい!と思ったので、すぐにFacebookで友達申請し、メッセンジャーで悩みを聞いてほしいと連絡しました。

まだよく知らないわたしの、個人的な悩みに、2時間近く(1時間だったかな)付き合ってくれたAさんには、今でも感謝しています。


相手の都合を気にせずに呼び出してしまう不躾なところも、若さゆえの距離の詰め方だと思います。

それを厳しく咎められなかったのも、若さで許してもらえるところがあったのかなと思います。


この出来事を経て、わたしはAさんのいる職場に転職をしました。

また、この出会いが、その後の自分の弱さや課題に向き合っていくこととなり、自分を変えたいと強く思うようになりました。

今では、学ぶことの必要性と、継続の楽しさを知ることができたので、当時の自分の行動には感謝しなければいけませんね。


では、斉藤さんの話に戻ります。

次は、先ほどとは少し違った角度の話で、人との関わり方についてです。

今回は、その中でも、「理解力は愛を超越する」とい考え方について紹介します。

ここでは、「愛することを重視する人」と、「理解力のある人」を対比しています。


まず、「愛することを重視する人」ですが、

「愛することを重視する人」は、愛せない相手に対して憎しみを募らせるか、無視することになります。


一方で、理解力がある人は、

理解力がある人は、安定して理解力があります。

「理解する人」「理解しようとする人」は愛せない相手に対しても、別の向き合い方が可能です。

理解は、相性や趣味、物事の好き嫌い、思想や信条の違いさえも超越するものでもあります。



なるほど。

たしかに、わたしにも苦手な人はいます。

まるで価値観が違っていて、自分の大切にしたいことと反した考え方であればあるほど、相手の考えを否定したい気持ちになることもあります。

ただ、これは本当に気をつけなくてはいけません。


瞬間的に湧き上がるネガティブな感情に反応してしまうと、良いディスカッションは生まれません。

ネガティブな感情に反応しないというのが重要で、一度、異なる価値観を受け入れ、それから自分の考えを伝えるのがよいと思います。


仮に、チームでプロジェクトを推進する必要があるとしましょう。

その集団には様々な、自分とは異なる考えを持った人が存在するはずです。


自分の意見が絶対的に正しいということはあり得ないので、価値観が異なる人の意見ほど、方針やシステム等を見直すチャンスになります。


建設的なディスカッションによって、いいものに昇華させる過程をたのしみたいですね。


それでは、また。